株式会社 ジェイティービー

2012-03-01

 

帝国データバンクによると、今年2012年に創業100 周年を迎える企業は、全国に1,854社あるという。

これは、昨年より約3倍も多い数だそうだ。

100年という長い年月。100年前といえば、1912年、明治45 年(大正元年)になる。当然だが、かなり昔のことのようにも感じる。

その100年企業の中でも特に、明治後期~大正初期にかけての産業黎明期から、どのように会社が成長を遂げていったかのかと興味をそそられたのが、今回の「ニッポン長寿企業」で取材させて頂いた、株式会社 ジェイティービーだ。

JTB

東京都品川区の天王洲アイルにある本社にお邪魔させていただいた

まずビックリしたのが入り口の壁面。

1925年のJTB時刻表創刊号から、ズラリと歴代の時刻表がまるでアート作品のように掲げられている。

まさしく圧巻のひとことである。

鉄道の歴史とともに歩んできた重みが、ビンビンと伝わってくる。

案内していただいた上層階の会議室の大きな窓からは、眼下に東京湾ウォーターフロント、新幹線の車両基地もあり、また、ほど近いところには羽田空港も位置している。まさに日本の流通の一大ターミナルともいえる場所である。

お話をお伺いしたのは、田川博己代表取締役社長。

しっかりと目を見てお話してくださる田川社長。日本の旅行業界を代表する企業の社長であることを時おりフト忘れさせるような、無邪気でやんちゃな表情を浮かべられる。心から人を楽しませるのが大好きで、エンターテインメント精神あふれる方であることが伝わってくる。

もともとは、日本において、外国人を誘致する目的で設立されたJTB

当時は、外国人を日本に呼び、外貨を獲得するという国策の一つだったそうだ。

その後、1925 年に日本人向け鉄道乗車券が販売されると、JTBは乗車券の独占販売代理店となる。

いまではすっかりおなじみとなったパッケージ国内旅行企画商品が発売されたのが、1970年頃のようだ。

1964年の海外旅行自由化をきっかけに、海外旅行向けの商品も発売され、以後日本を代表する旅行会社として大きく成長していった。

現在、旅行業界を取り巻く環境は様々な面で大きく変貌を遂げている。

インターネットの普及によってネット取引ベースの商品が増え、また格安チケット販売会社も多い。

LCCの動きも活発だ。

そんな中、田川社長は「我々旅行業とは、交流文化事業だ」と説明された。

単に人が移動するということだけではなく、人と人が交流することで新しい文化が生まれる。それをサポートするのが我々の仕事だと。

お話を通じて、旅行会社としての責務・使命感のようなものを真正面から抱きかかえていらっしゃるということを強く感じ、深い感銘をうけた。

いよいよ創業100年を迎えた今年、JTBがどのような展開をしてくるのかが、とてもとても楽しみである。