BADFINGER特集!
2010-10-17
『悲劇のロックバンド! BADFINGER 特集』。
活動中、メンバー2人が自殺する、という悲劇のバンド:BADFINGER。
でもその音楽は最高です!
M. NO MATTER WHAT / BADFINGER
1曲目にお送りしたのは、1970年に全米8位のヒットとなった
シングルナンバー“NO MATTER WHAT[嵐の恋]”です。
ギターのリフもいいし、ブレイクもいいし、
ピートとトムのロックなハモリも最高です。
M. Come and get it / BADFINGER
続いてお送りしたのは、そのBADFINGERが1969年にリリースした
1曲目のシングル“COME AND GET IT”です。
なぜ、デビューシングルって言わないのか?
というと、その前にアイビーズという名前で
1回デビューしているんですよね。
さてさて、この曲を聴いて『なんだーー。ビートルズそっくり!
ただのビートルズフォロワーじゃん!』
と思ったかた!鋭い!!それもそのはず!でございます。
この曲、作詞作曲はポール・マッカートニーその人!
プロデュースもアレンジもポール!ビートルズサウンド
になるのは当然、ですね。
おまけにレコード会社は、ビートルズのアップルレコード!
そう。このバンドは、ビートルズの秘蔵っ子的に出てきた
バンドなんですね。
さてさて、BADFINGERの前進バンド:アイビーズは
1964年にイギリス・ウェールズで結成されました。
中心メンバーは、ギター&キーボードのピート・ハムと、
ベースのトム・エヴァンス。
その2人が歌って、ソングライトするバンドでした。
そのほかのメンバーを入れ替えながら、ロンドン、リバプール、
ダブリン・・・と活動拠点を広げて、
ファンを増やしていきながらデビューの機会を伺っていた1968年。
ついにバンドにチャンスが訪れました。
M. ROCK OF ALL AGES / BADFINGER
悲劇のロックバンド:BADFINGER特集。
次にお送りしたのは、1969年のナンバー。
“ROCK OF ALL AGES”です。
これは本人たちのオリジナルです。
ちなみに、プロデュースはトニー・ビスコンティ。
T-REXとか、デビッド・ボウイの作品を手がけた
名プロデューサーの若かりしころですね。
さてさて、さっきの話の続きです。
イギリス・ウェールズのローカルバンドだったアイビーズが
ロンドンのマーキークラブでLIVEしていたのを、
ビートルズのロードマネージャーが見たところから、
バンドの運命は大きく変わりました。
当時、ビートルズは自らのレーベル:アップルレコードを
設立したばかり。
ということで、契約する新人バンドを探していたんですが、
そこに、BADFINGER、つまり当時のアイビーズが
ピッタリとハマったんですね。
ポール・マッカートニーは、バンドのサウンドを気に入って、
ジョージとジョンも“いいじゃん!”ということで、
アップルからのデビューが決まりました。
リンゴは無視かい(笑)!
M. MAYBE TOMORROW / BADFINGER
次にお送りしたのは、1968年のアイビーズとしてのデビュー曲
“MAYBE TOMORROW”です。
まぁ、このテイクはBADFINGERになってから取り直した
バージョンですが。
さてさて、この曲でデビューしたアイビーズ。ですが、
本国イギリスで全く売れず・・・、次に出したアルバムなんて、
イギリスでは発売もされず、西ドイツ、イタリア、
日本といった国でしかリリースされませんでした。
こまった。ここは起死回生の1発を!ということで、
アップルレコードは、バンド名をBADFINGERに変えさせて、
ポール・マッカートニーが曲を提供してプロデュース&アレンジ
までやって、さっきお送りした“COME AND GET IT”で
1969年に再デビューすることになりました。
ちなみに、この曲はリンゴ・スターの出演する映画
『マジック・クリスチャン』のテーマ曲でもありました。
もーーー、バーターだらけ!といった感じですが、
それが功を奏して、イギリス、そしてアメリカでTOP10
に入るヒットとなりました。
まぁ、みなさんご存知のとおり、そのころになると、
ビートルズは崩壊に向かっていくわけで・・・、
徐々にビートルズの神通力は通じなくなっていくわけですが、
そんな中で、BADFINGERは自分たちのオリジナル曲だけで
勝負して、そして、ヒットを手にしていきます。
当時のヒットとしては1曲目にお送りした、
“NO MATTER WHAT「嵐の恋」”、
そして、音楽ファンで知らない人はいないであろう、
こんな名曲も残しています。
M. WITHOUT YOU / BADFINGER
悲劇のロックバンド:BADFINGER特集。
お送りしたのは、1970年のアルバム「NO DICE」
に収録された名曲“WITHOUT YOU”です。
この曲、知ってますよね?
でも、このバージョンじゃないですよね?
実は、みんな知っているのは1972年にニルソンがカバーしたバージョン。
ニルソンはこの曲で全米ナンバー1を獲得してスーパースターになっています。
マライア・キャリーのバージョンも有名ですよね!
ピートの作ったAメロと、トムの作ったサビを合体させて出来た、
珠玉の名曲です!
さてさて、こんなヒット曲にも恵まれて、バンドはさぞかし
潤っているんだろう・・・と思ってしまいますが、
実はデビューからずーーーーと、バンド内部は悲惨な状況でした。
そもそも、ビートルズが作ったアップル・レコードは素人集団。
お金の管理などは、とんでもなく酷いものでした。
そして悪評高いアップルのアラン・クラインはアーティストに
お金を渡すわけもありません。
実は、バンドはほとんど一文無しの集団になっていました。
トッド・ラングレンのプロデュースで名作を作ったり、
ジョージ・ハリソンのソロアルバム、ジョン・レノンのアルバムにも
参加したり、一見、上手くいっているように見えましたが、
バンドは崩壊直前。
そして、1973年、やっとアップルとの契約が終わったバンドは
心機一転、ワーナーブラザーズに移籍することになりました。
M. MONEY / BADFINGER
さて、この曲で、[お金、それは俺を不幸にするもの・・・]
と歌っている通り、バンドは不利な契約で一文無し。
その中で、やっとアップルレコードを抜け出して、
ワーナーと契約しますが、その際に契約した新しいマネージャーも極悪人。
結局、再びバンドは巧妙に仕組まれた罠にだまされて、結局文無し。
精神的にもダメージを受けて、グチャグチャになってしまいました。
そんな中での1975年。中心メンバーのピートが婚約者とおなかの中の
赤ちゃんを残して自殺。バンドは解散してしまいました。
M. DAY AFTER DAY / BADFINGER
BAD FINGERで“DAY AFTER DAY”。
アメリカでは、チャート4位となった大ヒット曲です。
スライドギターはジョージ・ハリソン。
プロデュースもジョージです。
さてさて、悲劇のバンド:BADFINGER。
1975年のピートの自殺によって、悲劇的な最後となりましたが、
悲劇はそれだけではありませんでした。
1979年には残ったメンバーでBADFINGERを再結成。
メジャーレーベルと契約して再び始動しますが、
そんな中、1983年にはもう一人の中心メンバー:トムが
妻と息子を残して自殺してしまうんですね。
すなわち、あの名曲“WITHOUT YOU”を書いて、そして歌った
2人のBADFINGERは、ロックビジネスに翻弄されて、
そして汚い大人たちに騙され続けて、
2人とも自ら命を絶ってしまったわけです。
そういった悲劇的な歴史があるからでしょうか・・・・
BADFINGERの音楽は、とてもPOPでありながら、
ほろ苦くて少し切ない、でも聴けば聴くほど味わい深い、
そんなロック、なんですね。
M. Apple of my eye / BADFINGER