R.E.M. “AUTOMATIC FOR THE PEOPLE”
2011-08-20
『R.E.M. 名盤
“AUTOMATIC FOR THE PEOPLE” 特集』
M. DRIVE / R.E.M.
1曲目にお送りしたのは、1992年のそのアルバムから
オープニングを飾るナンバー“DRIVE”です。
オープニングなのに暗すぎる!!
オルタナティブ・ロックというよりも、フォークですよね。
そして内省的な救われない歌詞。
これが1500万枚以上売れた、そのワケは何なのでしょう。
M. MAN ON THE MOON / R.E.M.
さて、次にお送りしたのは、1992年のそのアルバムから、
名曲“MAN ON THE MOON”です。
鬼才のコメディアン:アンディ・カウフマンをモチーフに書かれた曲。
後に、彼の伝記映画が製作されたときの映画のタイトルにもなりましたね。
さてさて、R.E.M.
アメリカ・ジョージア州出身のロックバンドです。
メンバーは、
ボーカルのマイケル・スタイプ
ギターのピーター・バック
ベースのマイク・ミルズ
ドラムのビル・ベリー
の4人です。
1980年に結成して、翌年にはインディーレーベルからシングルをリリース。
1982年には、より影響力の強いインディーレーベルI.R.Sに移籍。
1983年にデビューアルバム『マーマー』をリリースしました。
その音楽性の高さ、そして知的な歌詞。
ところどころに見られる政治的なメッセージ。
そして、何を言ってるかよく分からない独特なボーカルスタイル。
(当時はそんな歌唱法でした。
音楽関係者は、インディーバンドながらとにかく大絶賛。
そして、耳の早い各地のカレッジチャートでも大人気。
あの“Rolling Stone”誌では、MJのスリラーを抜いて
“Best Album Of The Year”に輝くなど、異常なほどの注目を浴びました。
その後、同じインディーレーベルからアルバム5枚をリリースしますが、
どれも大ヒット。
5枚目『ドキュメント』に至っては、プラチナ:100万枚以上のセールスを
記録して、シングルもトップ10入り、と、
それこそメジャーアーティストでも辿り着けないほどの
高みに上ってしまいました。
そして1988年には、多額の契約金と共にワーナーへ移籍。
歌い方も、ハッキリと歌詞が分かるクリアな歌い方に変わったこともあって、
より多くの人にその音楽が届きます。
移籍後初のアルバム『グリーン』は300万枚のセールスを記録。
そして、その強烈な政治的メッセージは、多くの人の心を動かしました。
R.E.M.は、あっという間に若者のオピニオン・リーダーとなったんです。
M. IGNORELAND / R.E.M.
お送りしたのは、1992年のそのアルバムから、
R.E.M.の当時の政治的メッセージがつまった“IGNORELAND”でした。
90年代初めのアメリカは、当時の日本とは真逆で、まさに荒廃した状態。
湾岸戦争の後遺症で、経済、産業の衰退で国家の累積赤字が増える一方。
街にはホームレスが溢れて、若者には夢も希望もない・・・。
軍事費だけが嵩んで、老人や子供への福祉・厚生のお金は減る一方。
と、本当に暗い時期でした。
だからこそ、80年代のようなカラフルなポップソング、
そしてヘアスプレーのメタルバンドなんかが一気にダメになって、
よりリアルな、より重く、内省的で暗い音楽がメインストリームになって
いったんですね。
それがまさに、オルタナ・グランジバンドたち。
R.E.M.とかピクシーズ、そしてNIRVANAにPEARL JAMに
SOUNDGARDENなんかだったわけです。
そうでもない限り、ここまで暗い音楽、内省的で落ちるアルバムが
1500万枚も売り上げるわけないですもんね。
そして、だからこそ、アメリカでの爆発的なヒットにも関わらず、
ここ日本では殆ど話題にならなかったわけです。
まさにロックは、時代を映す鏡。
そして、20年近く前のこのアルバムの時期のようなことがまさに、
イマここ日本で起こっているんですよね。
“IGNORELAND”は、“知らん顔の国”“他人事の国”なんて
訳せばいいんでしょうか。
この母国のとんでもない状況は、国民自身が選んだことなんだ。
オレタチが作り出したことなんだ。
だから、今こそ叫ぼう。革命のために。
と歌っています。
M. NIGHTSWIMMING / R.E.M.
次にお送りしたのは、1992年のそのアルバムから、
“ナイトスウィミング”でした。
名曲。
秋の夜長にぴったりです。
このアルバム。後半3曲くらいがまさに救いのような存在。
絶望の中で見つけた光のように、美しく響きます。
さてさて、このアルバム『AUTOMATIC FOR THE PEOPLE』は、
1000万枚を超える1991年のスーパーヒット作品『OUT OF TIME』の
次の作品です。
初の全米1位を記録したアルバム『OUT OF TIME』は、
それまでのギターバンドR.E.M.のイメージを払しょくして、
ピアノやマンドリン、そして美しいストリングスをフューチャーして、
よりレベルアップしたR.E.M.サウンドとなってグラミー賞まで
受賞したわけですが、まさに、先ほどのNIGHTSWIMMINGを聞くと分かる通り、
このアルバム『AUTOMATIC FOR THE PEOPLE』も同じ方向性で
制作されています。
そして、“死”というとんでもなく重く、暗いテーマの作品であるにも関わらず、前作を超える1500万枚のセールスを記録。
まさに、アメリカの若者にとって、最も重要な存在のバンドになりました。
そして、もう一つ。
このアルバムで有名なエピソードは、
『あのNIRVANAのカート・コバーンが自殺の直前に
聴いていたアルバムだった。』
ということですよね。
その事実が、更にこのアルバムを重いものにしてしまいますが・・・。
でも、英語が母国語でない僕らにとっては、
本当に美しいメロディーの塊にも聞こえますし。
そして、イマ、本当に苦しい時期の日本に対するエールにも聞こえます。
M. EVERYBODY HURTS / R.E.M.