BECK!“オディレイ”
2011-07-03
『サンプラーが生んだ至高の音世界!
BECK!“オディレイ!” 特集』。
M. DEVILS HAIRCUT / BECK!
1曲目にお送りしたのは、1996年のそのアルバムの
オープニングナンバー“デヴィルズ・ヘアカット”です。
ファンキーなビートのループに、あの!イギリスの伝説の
ROCKバンド“ゼム”の楽曲のリフを組み込んだナンバー。
そこに歌ともラップともつかないサビのボーカルが重なって・・・、
もーー何だかよく分からないけど、カッコよくて、
トリップしちゃいますよね。
M. LOAD ONLY KNOWS / BECK!
さて、次にお送りしたのは、1996年のそのアルバムから、
“LOAD ONLY KNOWS”です。
カントリーチックなバンドサウンドに、ノイズだらけのギターサウンド。
ヘタウマなスライドギターが混ざって、何ともいえない不思議な
音世界が広がってますよね。
この力の抜けたようなロックサウンド、不完全さがまさにUSオルタナ!
90年代に入って、“カッコいいもの”の基準が明らかに
変わってきたことが分かりますよね。
さてさて、BECK。アメリカ、LA出身のソロ・アーティストです。
1970年生まれで、もーすぐ41歳になります。
ミュージシャンの父と、ヴィジュアル・アーティストの
母のもとに生まれた彼は、子供のころからTVやラジオから
垂れ流されるポップ・カルチャーに夢中になりました。
ポップ、フォーク、サイケデリック、ヒップホップ、カントリー、
ブルース、R&B、ファンク、インディーズロック、パンク、
ノイズロック、ジャズ、ラウンジ、ブラジル音楽・・・
様々な音楽に触れた彼は、ジャンクフードのように
それらをむさぼります。大都会LAですから、街中にも
ポップ・カルチャーが溢れていたんでしょうね。
確かに、彼の音楽には人種のルツボ:アメリカの大都会の匂いが
しますよね。
ほぼマニアのように音楽に夢中になった彼は、高校を中退後、
ヨーロッパを演奏しながら放浪。
前衛芸術家グループなどに参加しながら、
自身のセンスを磨いていきました。
M.MINUS / BECK!
お送りしているのは、1996年のそのアルバムから、
いかにもUSオルタナ!パンキッシュなナンバー“マイナス”です。
さて、さっきの話の続きです。
高校中退後、ヨーロッパを放浪したり前衛芸術にも関わっていた
BECKですが、アメリカに戻ってからは音楽活動に本腰を入れます。
ちなみに、そんな彼の相棒になったのは、AKAIのサンプラーです。
ここに、大好きなレコードからドラムのグルーヴをぶちこめば、
一晩中でも文句を言わずにループしてくれるし、
どんなジャンルの、どんなミュージシャンでも組み合わせは自由自在。
一昔前は○○千万円~○○百万円もしたサンプラーという高級機材が
ちょうどリーズナブルな値段になった、
という時代の流れもあったんでしょう。
そんな自由なキャンパスの中で作り上げたBECKの音楽は
インディーズながら、世界的に知られるようになります。
1993年には、シングル『ルーザー』がカレッジチャートを中心に
大ヒット。
ファンキーなグルーヴに、ラップが重なって、
でもギターはオーガニック。サビはキャッチ―。と、
まさにジャンルレスな音楽は、BECKの才能を知らしめるに十分でした。
当たり前のようにメジャーレコード会社は、一大争奪戦を繰り広げて、
遂に1994年。アルバム『メロウ・ゴールド』でBECK!
はメジャーデビューします。
M. THE NEW POLLUTION / BECK!
次にお送りしたのは、1996年のそのアルバムから、
“ザ・ニューポリューション”です。
さてさて、1994年のアルバム『メロウゴールド』で、
一躍時の人となったBECK。LIVEはどこも満杯。
“もーー、仕事もねーし、女もいねーし、金ないし、
だめだこりゃーーー”
みたい歌詞は、若者の共感を呼んで一気にポップアイコンになりました。
そんな彼が、その後インディー盤を何枚か出した後にリリースした
メジャー2枚目のアルバムが、
今日ご紹介している“オディレイ”ですね。
プロデュースは、ヒップホップ界の重鎮!
トーンロックや、ビースティー・ボーイズを手掛けて、
その後は、ROLLING STONESやハンソンといった
アーティストも担当したプロデュースチーム:ダスト・ブラザーズ。
様々なジャンルの音をサンプラーにぶち込んで、
現実世界ではありえないコラボレーションを行った彼らのサウンドは、
まさに唯一無二。
ユーモアたっぷりに音楽で遊んで出来上がったアルバムは、
リリースと同時に、世界中で大ヒットとなりました。
M. HOTWAX / BECK!
お送りしているのは、1996年のそのアルバムから“HOTWAX”です。
○デルタブルースのようなアコギに、
滅茶苦茶に歪ませたブルースハープの音、
そこに重なるアナログシンセ・・・
これらをMIXする、というセンスがおかしい。
そして、ちゃんとポップになっている。
まさに、天才。
音楽にジャンルなんて関係ねぇ!
って、ぶん殴られるような感覚ですよね。最高です。
さてさて、このアルバム“オディレイ”は、
アメリカ、日本のみならず、世界中で大ヒット。
何と、グラミー賞を2部門受賞するほどの評価と、
大きなセールスを手にしました。
1996年以降、若い世代にとってのBECK!は、
ジェフではなく、LA出身のオルタナアーティストになったんです。
<あと漫画ね(笑)。>
M. WHERE IT’S AT / BECK!