明治時代にタイムスリップ!愛知県犬山市の明治村|旅人:片桐千晶

2019-06-26

こんにちは!旅人の片桐千晶です。

 

 

 

 

 

 

 

 

今回のテーマは「明治時代にタイムスリップ!愛知県犬山市の明治村」
わたくし、犬山市も初めてなら明治村に行くのも初めて。
“キキタビの旅の扉を叩いてみれば、文明開化の音がする~♪”ということで、早速明治の世界へレッツゴー!

 

 

やってきたのは名古屋駅から北に車で約45分。
愛知県犬山市にある建物の博物館、明治村

 

梅雨時期とはいえ、こんなに降らなくても…というくらいのどしゃ降り(笑)
でも、ここでテンションが下がらないのがキキタビ一行の素敵なところ。
生粋の雨女・作家の河合さんVSなんとなく晴れ女の片桐。
どっちが勝ちますかねぇ、いやいや敵いませんよ、なんてゆるーい話をしながら散策スタートです。

 

明治村は、明治建築を保存展示する野外博物館として昭和40年に誕生しました。
震災や戦争、高度経済成長の波によって貴重な明治建築が次々と取り壊されていく中、歴史的価値の高い文化財をなんとか保存しなければという想いのもと作られました。

 

 

 

 

 

 

 

 

移築保存されている建物はすべて本物。11の重要文化財を含む64の建物と乗り物があり、全国でも屈指の数を誇ります。
敷地はなんと100万平方メートル、東京ドーム21個分!広い!

 

 

 

 

 

 

 

 

明治村の正門は旧制第八高等学校(現在の名古屋大学)の正門が使われています。赤茶色のレンガ造りで、入口から早速明治の趣が漂います。

 

案内して下さったのは、明治村の学芸催事担当・青木馨さん

 

 

 

 


ガイダンスセンター

 

 

 

 

 

今年3月にオープンしたガイダンスセンターには、明治村がロケ地として使われたドラマや映画作品のパネルがずらり。
NHKの朝ドラ「ごちそうさん」「花子とアン」「わろてんか」「半分、青い」「まんぷく」などなど、欠かさず見ていた私は「あー!あのシーンのあの場所かー!」とすでに大興奮。早く実物が見たくてうずうず。

 

 

 

 

 

 

 

 

1丁目から5丁目までエリアが分かれている明治村。
1丁目に佇むのが森鴎外、夏目漱石の住宅です。

 

 

 

 

森鴎外・夏目漱石住宅

 

 

 

 

 

明治を代表する文豪、森鴎外と夏目漱石が住んでいた家で、東京都の千駄木に建てられたものを移築。
森鴎外は明治23年に1年余り住み、漱石は明治36年から約3年この家で過ごし「吾輩は猫である」を執筆しました。

 

再現された漱石の書斎には、山積みの本や硯と筆。
今にも漱石が執筆しそうな雰囲気です。
縁側には当時可愛がっていた猫そっくりの置物が。
雨に濡れる庭の緑が鮮やかできれいです。秋の紅葉の雰囲気も素敵だろうなぁ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別部屋の足元には小さな戸が。
もともとは掃除の掃き出し口でしたが、猫が通る「猫くぐり」として使われたそう。迷い猫も漱石家の一員として可愛がられていたのかなぁなんて思うとほっこり。こういう何気ない日常の風景も作品作りに生かされたのかもしれませんね。

 

 

 

 

 

 

 

 

掛け軸には、原稿のレプリカが貼ってあり、走り書きの文字を見ると「海(うみ)の中(なか)」という簡単な言葉にわざわざふりがなが。細かく気難しいといわれた漱石の人柄が表れています。

 

 

 

 

 


三重県庁舎(重要文化財)


西郷從道邸(重要文化財)

 

 

 

 

歩いて少し小腹が空いてきたなぁ…と思ったところで美味しそうなものを発見!明治村の売店では、愛知県出身の作家・村井弦齋が明治30年代に書いてベストセラーになった恋愛グルメ小説「食道楽」の中に出てくるレシピを再現・アレンジしたメニューが食べられます。

 

一番人気、名古屋名物の小倉ドッグ。
軽く焼いたふわふわのコッペパンに、小倉あんと生クリームがたっぷり。
この相性抜群の組み合わせ!幸せな甘さを口いっぱいに頬張ります。

 

 

 

 

 

 

 

 

アンパンが誕生したのは明治の初め。これにマーガリンを加えた小倉トーストが昭和に誕生し、名古屋の定番となりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

両脇の緑が綺麗な石段を歩いていくと、2丁目のレンガ通りへ。
レンガ敷きの通りに建物やお店が集まっているにぎやかなエリアです。
安田銀行会津支店の建物では、明治時代の衣装を体験することが出来ます。

 

 

 

 


安田銀行会津支店

 

 

 

 

華やかなドレスや、矢絣の着物と袴などに着替えられるとのこと。
その衣装で明治村を散策したらまさに明治時代にタイムスリップ!
絵になるだろうな~

 

 

 

 

 

 

 

 

レンガ通りでまたまた美味しそうなものを発見。
食道楽のカレーパンです。
小説「食道楽」のレシピを再現したカレーは、スパイスが効いていて鶏肉と砕いたピーナッツ入り。クセになる美味しさです。

 

 

 

 

 

 

 

 


鉄道局新橋工場と明治天皇・昭憲皇太后御料車(鉄道記念物)

 

 

 

 

続いて向かったのは明治天皇・昭憲皇太后の御料車
御料車とは、天皇・皇后両陛下などが乗る特別な車両のこと。
この6号御料車は明治43年に作られ、明治天皇だけでなく大正天皇や昭和天皇も使われたそう。
豪華な作りから「走る宮殿」と呼ばれました。
この格式と重厚感のある車両。眺めていると圧倒される雰囲気があります。

 

天井には木目を使って鳥や植物を描いた「木象嵌」や螺鈿細工が。
細やかな刺繍や七宝宝飾など、日本の伝統的な工芸技術の粋を集めた豪華な作りで、当時の職人さんたちの技術を保つ大切な役割も担っていたそう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天皇陛下がお座りになる御座所の座席は金色に輝く豪華なソファー。
中央には菊の御紋が刺繍されています。
座っている陛下の前を横切ることは許されないため、御座所の後ろに一人がやっと通れる位の細~い通路が作られているのが印象的でした。

 

 

 

 

 

 

 

 

御料車の下に敷かれているレールは鉄道開業当時に使われていた「双頭レール」と同じもので、鉄道マニアの方にとってはこちらもたまらないそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

2丁目を後にして、京都市電に乗車。
明治28年(1895年)に京都で開催された内国勧業博覧会のために日本で初めて開通した京都市電。ということはこの車両、なんと124年前のもの!それが現役で動いているんです。すごい!

 

 

 

 

 

 

 

 

車内は、木製の窓枠と紅い布張りの座席でなんともレトロな雰囲気。
つり革の部分は布団叩きみたいで(風情がない。笑)、温かみがありました
走り出すとギシギシと車両全体が軋む音や振動が直に伝わってくるのがとても心地良くて。
車窓からは明治村の景色が一望でき、雨に濡れた明治建築もまた味わい深いものがありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

京都市電の乗車駅の隣には日本初の公衆電話ボックス(明治33年に東京・京橋のたもとに設置)や、明治45年に作られた京都七条巡査派出所が。レンガ作りでおしゃれです。みんなで敬礼!

 

 

 

 


京都七条巡査派出所

 

北里研究所本館・医学館

 

 

 

 

3丁目には北里研究所本館・医学館も。
この研究所を作った北里柴三郎といえば、日本の細菌学研究の先駆者であり、新1,000円札の顔になる人物。
先日の決定のニュースを受けて注目が高まり、訪れる人も増えているそう。
自身が学んだドイツの研究所に倣ったバロック風の建物。
屋根には何やらバッテンのようなマークが。これは、北里柴三郎が発見した破傷風菌がモチーフになっているそう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実験室はまるで格式の高い理科室のようで、微生物の研究には欠かせないあらゆる種類の顕微鏡がずらりと並んでいました。

 

明治村では、建物を見るだけではなく懐かしの遊びも体験できます。
4丁目にある白い建物、歩兵第六聯隊兵舎。ここでは矢場や射的が体験できます。

 

 

 

 


歩兵第六聯隊兵舎

 

 

 

 

 

自慢じゃありませんが射的が下手なわたくし。一度も当てたことがありません。

 

ずっしりと重い射的銃を構え、狙いをすませた2発目…
パーーン!え!?あ、当たったーーー!!!
生まれて初めて射的で命中しました!嬉しい!
真っ赤な「はたらくクルマ」をゲット(笑)。片桐、ご満悦の表情です。

 

 

 

 

 


呉服座(重要文化財)

 

 

 

 

すっかり気をよくして軽い足取りで向かった先は呉服座(くれはざ)。
明治25年、大阪府池田市に建てられた木造の芝居小屋で、国の重要文化財に指定されています。
建てられた当時は地方巡業の歌舞伎や芝居、落語、浪曲、講談、漫才のほか、尾崎行雄などが立憲政治や社会主義の演説会に使ったりと、民衆の娯楽の場であると同時に政治的な活動の場所でもありました。
呉服座はNHKの朝ドラ「わろてんか」のロケ地にもなっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

ガイドして下さったのは玉置紀子さん。和服姿と歯切れのいい話し方が素敵です。
正面の舞台には立派な松の絵。500人収容できるという広い客席は圧巻です。

 

 

 

 

 

 

 

 

客席への移動は、平均台を歩くように「歩み板」を進みます。
1m四方の升席は4人用。大人ならぎゅうぎゅうになる狭さですが、明治時代の人は小柄だったのでこのスペースで大丈夫だったそう。

 

舞台に上がると、天井には竹を組んだ「ぶどう棚」が。
紙吹雪を降らせる人が客席から見えないように黒い幕が下げられ工夫されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

床は回り舞台。中央に板を立て、表と裏で違う背景を描き、舞台を半回転させれば素早く場面転換できるという仕組みです。これを回すのはもちろん人力。
その仕組みを見に、舞台の真下の「奈落」へ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

薄暗い奈落。梁の穴に丸太を差し込み、1トンの重さの舞台を6~12人の男性たちで動かしていたそう。
窓もなく光も風も入ってこない、蒸し風呂状態の奈落はまさに地獄…。
その中で頑張る存在がいたからこそ役者さんたちは輝けたんですね。
まさに縁の下の力持ち!

 

 

 

 

 

 

 

 

いよいよ最後のエリアの5丁目へ。
目の前に現れた白亜の教会、聖ザビエル天主堂。

 

 

 

 

聖ザビエル天主堂

 

 

 

 

 

日本にキリスト教を伝えた聖フランシスコ・ザビエルを称え、かつてザビエルがいた京都市に明治23年に建てられたものです。
目を引くのが直径3.6mの大きなステンドグラスの薔薇窓

 

 

 

 

 

 

 

 

優しい光が教会内に差し込んでとても綺麗です。
中央から放射線状に伸びている12本の線は、キリストの教えを広めるため世界各地にちらばった「12使徒」を表しているそう。

 

 

 

 

金沢監獄中央看守所・監房

 

 

 

 

案内してくれている青木さんが「できれば人生の中で踏み入れたくない場所ですよねぇ」という場所。それは金沢監獄。
明治40年に石川県金沢市に建てられたもので、中央にある看守所は八角形の珍しい形をしていて、それを囲むように放射線状に監房が配置されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここでは実際に独房に入り、囚人気分を味わえるのですが…
中に入ってみると狭い!3畳も無いくらいの狭さで、思わずこの表情。
ここでずっと過ごすなんて…何も悪いことをしてなくても反省したくなります。ぽつーーーん。

 

 

 

 

 

 

 

 

監房のところどころに置かれているリアルな囚人の人形。なんと明治村のスタッフの方がモデルになっているそう!
うーん、どうりでリアルなわけです。モデルに選ばれて嬉しいような嬉しくないような…(笑)

 

ちなみにこの独房が並んでいる場所は、NHKの朝ドラ「半分、青い」でヒロインの鈴愛(すずめ)が高校時代に初めてのデートに選び、相手の男の子にドン引きされたシーンで使われた場所。
確かにこれは引くよ!この初デートは無いよ、鈴愛!

 

 

 

 

 

 

 

 

いよいよ明治村の散策も終盤。
敷地内を走るもう一つの乗り物、蒸気機関車(SL12号)に乗車!
明治時代に日本で初めて鉄道が開通。
この車両は明治7年(1874年)にイギリスのシャープ・スチュワート社から輸入されたものなので、なんと145年前の車両!
蒸気機関車といい、京都市電といい、100年以上前のものなのに未だに現役で走っているなんてすごい!
当時の本物の車両に乗れるのは、国内だけでなく海外でも極めて稀なんだそう。
貴重ですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

ロケの日はしっかり雨が降っていたので「古い車両だから故障のリスクも考えて今日は走らないかも…」と言われていましたが、なんとだんだん雨が小降りに!無事に乗ることが出来ました。ラッキー!

 

「シュポーーー!」という甲高い汽笛の音ともくもくと上がる白い蒸気。
迫力があり、145年も経っているとは思えない力強い走りです。
ちなみに、方向転換するときはなんと人力。しかも2人だけで車両を回転させます。「え、ここも人力!?しかも2人だけで!?」とびっくり&大興奮の我々。

 

 

 

 

 

 

 

 

車窓からはまるで湖のような、国内最大級の貯水量を誇る「入鹿池」を眺めることができます。SLに揺られ景色を眺めながら、一日巡ってきた明治の歴史ある建物の数々を振り返っていました。

 

 

 

 

 

 

 

 

SLを降りて辿り着いたのは帝国ホテル中央玄関。
アメリカの巨匠、フランク・ロイド・ライトによって設計され、大正12年に4年間の大工事を経て東京・日比谷に開業。新1万円札にデザインされる渋沢栄一が携わったことでも知られています。

 

 

 

 

帝国ホテル中央玄関

 

 

 

 

 


日本の迎賓館としての役割を担って誕生した帝国ホテル。
その格式のある佇まいに、刻んできた歴史と風格を感じました。

 

ちなみにこの帝国ホテルの中の正面ロビーは、NHKの朝ドラ「まんぷく」でヒロインの福子がホテルのフロントで働いていたシーンで何度も登場。
愛嬌のある笑顔と英語で対応していた福ちゃんに思いを馳せながら美味しいコーヒーを頂きました。

 

 

 

数々の明治建築を見て、お話を聞きながらたっぷりと巡った明治村。
ただ見学するだけではなく、お話を聞いて、体験して、実際に明治時代を体感できるのが最大の魅力だと感じました。
そして実は、ロケの合間に10年後の自分に手紙を書いてきました。
これやってみたかったんですよね~

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宇治山田郵便局舎で10年後の自分や大切な誰かに宛てた手紙を出すことができるんです。
2019年の今の自分の近況や感じていること、そして10年後の私に願うことをしたためてきました。
届くのは2029年!その時に私はどんな風に生きているのか、どんな気持ちでこの手紙を受け取るのか…楽しみです!!

 

8月にはナイター営業、園内をライトアップしてのジャズライブや花火の競演などイベント盛りだくさんとのこと。
ぜひ皆さんも明治村に遊びに出かけてみてください!

 

 

 

【 おまけ 】
笑っちゃうほどのどしゃ降りでスタートした今回のロケ。
終盤に近付きどんどん小降りに…というか止んできた!これはなんとなくの晴れ女・片桐の勝利か?と思いきや。
帝国ホテルでコーヒー休憩を挟んだ直後、雨女・河合さんが建物を出たその瞬間!突然降りだした激しすぎる雨(笑)。
あんなにあからさまなの初めて見ました。河合さんの雨女力、恐るべし!